主な肩関節鏡手術

鏡視下腱板修復術

断裂した腱板を鏡視下に縫合(修復)します。
肩周囲に4-5ヶ所のポータル(小さな皮膚切開)を作成し、腱板の断裂部の掃除、余分な骨の切除、腱板を縫合するためのスーチャーアンカー(糸のついた骨親和性樹脂等の小さなビス)の挿入、アンカー糸による腱板の縫合、等を順に行い、断裂した腱板を修復します。
入院期間はおよそ3-4週です。
平成26年に大阪赤十字病院(および関連施設)で行った鏡視下腱板修復術は110例(重複を含む)でした。

写真3  関節鏡像 鏡視下腱板修復術

鏡視下バンカート修復術

肩関節脱臼・亜脱臼で生じた靭帯の機能不全に対して、緩んだ靭帯を鏡視下に修復(再建)する手術です。
糸だけでできた特殊なソフトアンカーと呼ばれる非常に小さなスーチャーアンカーを用いて、緩んだ靭帯を適度な緊張がかかるように修復します。
ポータルは3ヶ所ほど作成します。
入院期間はおよそ5‐6日です。
平成26年に大阪赤十字病院(および関連施設)で行った鏡視下バンカート修復術は21例(重複を含む)でした。

写真4  関節鏡像 鏡視下バンカート修復術

写真5  術後の肩外転装具固定

鏡視下上方関節唇・靭帯修復術

投球障害肩、すなわち上方関節唇(SLAP病変)や中関節上腕靭帯(MGHL)損傷に対して行われる手術です。
これらには、いわゆるMinor Instability(微小な不安定症)と呼ばれる病態が含まれます。
3-4ヶ所のポータルを作成し、鏡視下に剥離した上方関節唇や緩んだ靭帯を、先ほど記述した特殊なソフトアンカーを用いて修復します。
入院期間はおよそ5‐6日です。
平成26年に大阪赤十字病院(および関連施設)で行った鏡視下上方肩関節唇・靭帯修復術は33例(重複を含む)でした。

写真6  関節鏡像 鏡視下上方肩関節唇修復術

鏡視下肩関節授動術(関節包切離術)

難治性の肩関節拘縮に対して行われる「肩がよく動くようにする手術」です。
拘縮の原因である硬くて分厚くなった関節包を鏡視下に切離して関節包を拡大します。
この手術を行うことで、可動域制限を改善するとともに、強い痛みを劇的に軽減する効果もあります。
手術直後から、肩の夜間痛が消失し、楽に睡眠がとれるようになる場合も多くあります。
肩関節拘縮に対しては、保存治療が第一選択肢ですが、長く続く痛みや挙上障害には対しては、この手術も状況に応じて選択肢となります。
入院期間はおよそ1週です。
平成26年に大阪赤十字病院(および関連施設)で行った鏡視下肩関節授動術は3例(重複を含む)でした。

写真7  関節鏡像 鏡視下肩関節授動術(関節包切離術)

鏡視下上方関節包再建術(大腿筋膜移植術)

広範囲腱板断裂や腱板断裂性肩関節症に対して、鏡視下腱板修復術と併用して行われる手術です。
断裂して高度に引き込まれた腱板を無理に引っ張らずに、その代わりに上方の関節包を作りなおして、肩関節がうまく動くようにバランスを改善することを目的とした手術です。
ひどい腱板断裂症例であってもこの手術を行うことで、バイオメカニクス的に肩関節機能が向上することが肩関節のモデルを使った研究で明らかになっています。
入院期間はおよそ4週です。
平成26年に大阪赤十字病院(および関連施設)で行った鏡視下上方関節包再建術は5例(重複を含む)でした。

写真8  鏡視下上方関節包再建術 大腿筋膜の関節内への挿入時

人工骨頭置換術・人工肩関節置換術(リバースショルダーを含む)

進行した変形性肩関節症・腱板断裂性肩関節症、あるいは上腕骨頭壊死(骨組織が血流不全になること)などに対して行われる手術です。
この手術は関節鏡手術ではありません。
平成26年春より、日本でも人工肩関節置換術の特殊型であるリバースショルダーを行うことができるようになり、大阪赤十字病院でも現在までに2例のリバースショルダー手術を施行し、経過良好です。
肩が自力で挙上できなくなった進行した肩の変性疾患症例でも、リバースショルダー手術を行うことで自動挙上が可能になる場合があります。
今後もそのような病態の患者さまに対しては、手術の適応をしっかり判断して、必要であればリバースショルダー手術を行っていく所存です。
入院期間は3-4週です。

図3  術後レントゲン(リバースショルダー)